「2店舗目を出す」「別拠点で仕入れ拠点を作る」など、古物商で営業所を追加(新設)するときは、事前届出 → 営業開始 → 事後届出+許可証の書換という流れが基本です。期限や添付書類を外すとムダな往復になるので、この記事のチェックリストで一気に仕上げましょう。
まず全体像:追加オープンまでのタイムライン
- 追加営業所の準備(賃貸・設備・管理者候補の選定)
- 事前届出:営業開始の3日前までに「営業所新設」の変更届出書(様式第5号)を提出。手数料なし。
- 営業開始(オープン)
- 事後届出+許可証の書換:オープン後14日以内(一定の場合は20日以内)に
- 変更届出書(様式第6号)(管理者選任などの実績を報告)
- 許可証の書換申請(手数料 1,500円)
を提出。
※「20日以内」になるのは、登記事項証明書の提出が必要な変更(法人の役員変更など)が絡むケースです。営業所追加の通常パターンは14日以内でOK。
どこへ出す?提出先の基本
- 事前届出(新設3日前まで):追加する営業所を管轄する警察署(生活安全課・防犯係)。
- 事後届出・書換申請(オープン後14日以内):主たる営業所を管轄する警察署に出すのが原則(実務では所轄で受けたものが公安委員会へ回付されます)。窓口で案内に従えば問題ありません。
必要書類チェックリスト
1) 事前届出(様式第5号)で一般的に求められるもの
- 変更届出書(様式第5号) …「営業所の新設」を選択
- 営業所の所在地・名称が分かる資料(賃貸借契約書の写し等を求められることあり・地域運用差)
- 本人確認書類(提出先の案内に従う)
事前届出は「これから営業所を増やします」という通知です。管理者の選任は“事後”に行います。
2) 事後届出(様式第6号)+許可証書換で一般的に求められるもの
- 変更届出書(様式第6号) …「管理者の選任」「営業所の新設後の状況」などを記載
- 許可証書換申請書(同時提出)
- 許可証(原本) …書換のため預ける
- 書換手数料:1,500円(収入証紙等・地域運用に従う)
- (管理者を新たに置く場合)管理者関係書類
- 略歴書
- 住民票の写し(本籍/国籍等記載)
- 身分証明書(本籍地市区町村発行)
- 誓約書
※いずれも欠格事由に該当しないことの確認に使われます。
管理者の選任ルール(超重要)
- 営業所ごとに必ず1名の管理者が必要。
- 管理者は、古物営業法上の欠格事由(破産直後・一定の刑罰歴・暴力団関係など)に該当してはいけません。
- 個人事業なら代表者=管理者でも可。ただし複数営業所なら各所に1名ずつ置く必要あり。
よくある失敗と回避策
- 3日前の“事前届出”を忘れる
- → ガントチャートに提出予定日を固定。内装や引越しの段取りと同列で管理。
- オープン後14日以内の“事後届出+書換”が遅れる
- → 管理者の書類(住民票・身分証明書)は早めに取り寄せ。本籍地が遠方だと時間を要します。
- 許可証を持参せず“書換”ができない
- → 書換は許可証の原本が必須。オープン日に本社から回収しておく。
- イベント販売なのに営業所追加で迷う
- → 催事場など短期の仮設店舗は「仮設店舗営業届出」の対象。営業所追加ではなく別届出です。計画時に警察へ確認しましょう。
Q&A
Q. 追加営業所が他県でも、改めて“許可申請”は必要?
A. 現行制度では、主たる営業所の許可1本をベースに、届出で増設する運用です(改正後の枠組み)。詳細の実務は各警察窓口の案内に従ってください。 警視庁千葉福岡古物商免許取得相談センター
Q. ネット販売専業で、倉庫だけ増やす場合も“営業所”になりますか?
A. 古物の取引・保管・帳簿管理を実施する拠点なら、実質的に営業所として扱われる可能性があります。実態に応じて窓口に確認を。
Q. 追加営業所で扱う“古物区分”が増えるが、許可を取り直す?
A. 取り直しは不要です。取扱区分は届出での補正・追記扱い(実務対応)になります。具体は窓口の指示に従いましょう。
まとめ
- 追加は:3日前(営業所追加(事前))と14日以内(新営業所管理者の選任の変更(事後))が鉄則。
- 各営業所に“管理者”必須:欠格事由チェックのため証明書類を先に確保。
- 許可証の“書換”を忘れない:1,500円と原本を持参。
- 催事は“仮設店舗届出”で処理。