近年、日本で働く外国籍の方は年々増え続けています。
その一方で、「在留カードの確認方法が分からない」「雇用していい在留資格なのか判断できない」という相談は、中小企業を中心に非常に多くあります。
外国籍の従業員を採用する際、企業側には在留資格・就労可否・在留期限などを正しく確認する義務があります。誤って無資格者を雇ってしまうと、企業にも罰則が科される可能性があるため、適切なチェックが不可欠です。
この記事では、企業・人事担当者が必ず理解しておくべき在留カードの見方と注意点 をわかりやすく整理します。
■ 在留カードとは?
在留カードは、日本に中長期在留する外国籍の方を証明する公的な身分証明書です。
企業側は「採用前」「雇用開始時」「更新時」など、必要なタイミングで内容を確認する義務があります。
在留カードには、次の重要情報が記載されています。
- 氏名、生年月日、国籍
- 在留資格(どの活動が許されているか)
- 在留期間(いつまで日本に滞在できるか)
- 就労制限の有無
- 在留カード番号
- 住所
- 裏面の変更履歴(更新・転居など)
■ 企業が必ず確認すべき「在留カードのチェックポイント」
① 在留資格(どの仕事ができるか)
最も重要な項目です。
在留資格ごとに働ける内容が決まっているため、職種と在留資格が合っているかを見ます。
例:
| 在留資格 | 就労可否 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 技術・人文知識・国際業務 | 〇(専門職) | 事務・エンジニア・通訳など |
| 特定技能1号 | 〇(指定業種のみ) | 介護・外食・製造など12分野 |
| 技能実習 | 〇(指定作業のみ) | 技能実習計画に記載された作業に限定 |
| 留学 | △(資格外活動許可があれば週28h以内) | コンビニ・飲食等のアルバイト可 |
| 家族滞在 | △(資格外活動許可で週28h以内) | アルバイト可 |
| 日本人の配偶者等・永住者・定住者 | ◎(制限なし) | すべての職種で雇用可能 |
企業側が最も間違いやすいポイントで、在留資格と業務内容がズレると、不法就労助長罪に該当する可能性があります。
② 在留期間(期限切れに注意)
在留期間が切れた状態で働かせてしまうと企業も処罰対象になります。
チェックポイント:
- 在留期限の 満了日
- 更新しているか(裏面に記録)
- 更新申請中かどうか(受付ハガキで確認)
企業は、期限が近づいたら本人に更新を促し、必ず証明書類を確認しましょう。
③ 就労制限の有無
表面の「就労制限」欄を必ず確認します。
記載の例:
- 「就労不可」 → 留学生・家族滞在など(許可なしでは働けない)
- 「指定された活動のみ可」 → 技能実習など
- 「就労制限なし」 → 永住者・定住者
- 特定技能など職種が明記される場合もある
ここを見誤ると、最も大きなトラブルにつながります。
④ 裏面の記載(更新・住所変更)が最新か
裏面には次の情報が記載されています。
- 住所変更の記録
- 在留資格変更(許可)の履歴
- 更新許可の記録
表面だけ見て確認を終えてしまうのはNG。
更新や変更をしていても裏面に記載があるため、必ず両面の確認を徹底しましょう。
■ よくある企業側のミス例
● ミス①:留学生を週28時間以上働かせてしまう
留学生は「資格外活動許可」がある場合に限り、28時間以内(長期休暇中は1日8時間・週40時間まで)のアルバイトが認められています。
これを超えて働かせると、企業側は不法就労助長罪の対象になる可能性があります。
また、外国籍従業員本人の次回在留資格更新時に不許可となる可能性が非常に高くなります。本人の将来に大きな影響を与えるため、シフト管理には十分注意が必要です。
● ミス②:在留期限切れに気づかず雇用を継続
在留期限が切れている状態で雇用を続けると、企業側は不法就労助長罪に問われる可能性があります。
また、当該外国籍従業員は オーバーステイ(不法残留) の状態となり、強制退去の対象となる深刻な状況です。
- もし在留期限が切れていることが判明したら、ただちに本人へ入管への出頭を促す
- 企業側も状況を入管に報告する
- 専門家(行政書士など)に同行してもらうことを強く推奨
という対応が必要です。
在留カードの期限管理は、企業側にとって最重要ポイントのひとつです。
● ミス③:在留資格に合わない業務をさせてしまう
例:
- 「特定技能(外食)」の在留資格なのに工場で働かせる
- 「特定技能(介護)」ではない人に介護業務を行わせる
- 「技術・人文知識・国際業務」で単純労働をさせる
在留資格は、申請の際に提出した「職務内容」に基づいて入管が許可・不許可を判断しています。そのため、許可されていない職務に従事させることは重大な違反となります。
従業員本人は在留資格取消のリスクがあり、企業側も不法就労助長罪の対象となることがあります。
採用前に「業務内容」と「在留資格」が一致しているかを必ず確認しましょう。
● ミス④:在留カードの偽造に気づかない
在留カードには多くの偽造防止技術が使われていますが、近年は偽造カードの精度も高くなっています。そのため、次の点は必ず確認してください。
- カードの質感・フォント・色味
- ホログラムの有無
- ICチップの読み取り(専用アプリで可能)
特に ICチップの読み取りチェック は、偽造防止に効果的で、面接時や採用時に行うことを強くお勧めします。
なお、出入国在留管理庁のホームページでは、使用するデバイスごとの「在留カード等読み取りアプリ」のダウンロードリンクが案内されています。
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/rcc-support.html
企業を守るためにも、「提出された在留カードをそのまま信用する」のではなく、適切な確認作業を行うことが重要です。
■ 雇用する企業が必ず行うべき3つのこと
① 在留カードの「表裏」両面を確認してコピーを保管
雇用管理のために必ず行う必要があります。
② 在留資格と業務内容が一致しているかチェック
許可された在留資格の内容と、業務内容が一致していることを必ず確認してください。
③ 在留期間満了までの管理
満了日が近づいたら、更新申請の証明書(受付票)も必ず確認します。
■ まとめ:在留カードの正しい理解は企業のリスク管理につながる
外国籍の方を雇用する企業にとって、在留カードのチェックは義務であると同時に、企業を守る重要なリスク管理です。
- 在留資格
- 就労可否
- 在留期限
- 裏面の記載
これらを正しく確認することで、トラブルを防ぎ、安心して外国人材を活用することができます。
今後も、外国籍従業員の採用や在留資格に関する情報をわかりやすく発信していきますので、ぜひ参考にしてください。